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その場合でも、軸受幅を20%減少させた場合の最小油膜厚さは、従来の使用実績から大きく外れている。対策として、潤滑油の温度を下げるまたは、SAE50の潤滑油の使用などにより、軸受け部での潤滑油粘度を高くする必要があることがわかった。

 

リーレンラガー軸受の採用および潤滑油粘度の制御により、10%程度の軸受幅低減であれば対応可能であることがわかった。

 

3.12 動弁系(シミュレーション含む)

エンジンの高出力化および高回転化に伴い、弁ぱねの共振など、動弁系の挙動に問題が生じる恐れがあるため、動的解析ソフト(DADS)を用いて、動弁系シミュレーション(動的解析)を実施し、この結果を基に弁ばねの選定を行った。(図91)
解析結果の確認および更なる精度向上のため、この弁ばねを含め、動弁系部品のエンジン運転時(1,030rpm、無負荷)の挙動を計測した。この結果、シミュレーション結果と実測値はほぼ一致し、動弁系設計に有効であることを確認した。

 

動弁系の軽量化を図るため、プッシュロッドの材質を従来の鋼からチタン(Ti−6Al−4V)に変更したものを製作した。
チタン採用の効果として、鋼と同じ肉厚とすれば重量は約60%になるので大幅な軽量化となる。
比強度(強度/密度)は、鋼の4.8(38kgf/mm2/7.85g/cm3)から、チタンの11(49kgf/mm2/4.4g/cm3)にアップする。
320mm試験エンジンの場合では、従来の1本当り3.0kgが2.0kgとなり、約33%の軽量化となった。(図92)

 

3.13 吸排気弁

 

a)260mm試験エンジン
軽量化を目的として、中空吸気弁を製作した。従来の1.48kgから中空吸気弁1.26kgになり、約15%の軽量化となった。

 

 

 

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